メンテナンスでブレーキタッチが向上。ブリッジケーブルも試す。 by 由谷 友孝 (YOSSY)

全国のブレーキ愛好家のみなさま、こんにちは。
乗りに出かけると、10人集まって自分だけなんてこともあるくらいケーブルが付いている車体が少ない今日このごろ。
なるだけ好みのブレーキタッチを維持するよう心がけているが、時間の経過とともにケーブルやブレーキアーチの動作が渋くなったりするもの。

前回から1年ほど経った自分のケーブルも動きが少し渋く感じていたため、メンテナンスを実行。ついでに、2015年モデルからECLATのラインナップに加わったTHE UNIT BRIDGE CABLEを取り付けてみた。

これはアーチワイヤーとチドリが一体となったパーツで、アーチワイヤーがチドリ部の左右からスッと真っ直ぐに伸び、ヨレやタワミの少ないシッカリとしたブレーキタッチが期待できるのではないか?それが初見の印象だ。

これまでは、余ったケーブルをアーチワイヤーにしECLATのUNIT U-BRAKEに付属してきたロゴ入りのチドリを使用し一工夫してきた。
単にチドリへケーブルを掛けるだけではなくチドリ左右の両端でケーブルを曲げ、ブレーキアーチへ向けて真っ直ぐに向くようにするのだ。

チドリにケーブルを掛けそれを左右のブレーキアーチへかけると、張りのせいでケーブルが外へと膨らんでしまう。膨らみがあるとレバーを引いてもすぐにブレーキアーチが連動せず、その膨らみが引き伸ばされた頃にブレーキアーチが動き始める。
これではブレーキの動作が緩慢に感じられ、気に入らない。そのための工夫だった。

個人的には工夫が不要になり寂しい気もするが、気軽にブレーキタッチが向上することは、ブレーキのセッティングに煩わしさを感じているライダーにとっては大歓迎ではないだろうか。

さて、交換の前にこれまでのアーチワイヤー+チドリと新しいブリッジケーブルを並べてみると、ブリッジケーブルのほうが長いことが分かる。長いということは、レバーを引いた際にフレームのケーブルガイドへ届くアウターケーブルの後端へチドリ部が接触してしまわないか心配したが、合わせてみると十分な距離であり心配は解消された。

このブリッジケーブルの全長は96mmなので、取り付けを検討する際は、ブレーキパッドがリムに接触している状態(ブレーキを掛けた状態)のブレーキアーチからアウターケーブル後端までの距離を測っておくと良いだろう。

ところで今回の目的は、渋い動作を解消するメンテナンス。
アウターケーブルからインナーケーブルを引き抜き表面を触ると若干粘り気を感じた。これでは動作が渋いはずである。
クリーナーを染み込みませたウェスでケーブルを拭いてみると、写真のように汚れがとれていく。

アウターケーブルのキャップを外し先端を見ると、写真のように内側の金属が飛び出てしまっていた。このままではアウターキャップを痛めブレーキタッチも悪化しかねないのでカット。

インナーケーブル表面の粘り気は、インナーケーブルに施されているコーティングが摩擦によって削られ、取り付け時にアウターケーブルへ注入したオイルがそのカスを吸ったことによるものではなかろうかと推測。今回はオイルを微量とした。
ちなみに、動作がスムーズだったのでアウターもインナーも交換はしなかった。

アウターケーブルへインナーケーブルを通したあとは、ブリッジケーブルの取り付け。
チドリ部の中央に空いた三角形の穴には、アウターケーブルから伸びるインナーケーブルを固定する小物が収められる仕組み。
小物の裏にはイモねじがあり、3mmの六角レンチを使用する。

小物をチドリ部の中央にはめて先端からインナーケーブルを通し、指で押さえながら位置調整をする。
チドリ部の位置がブレーキアーチとレバーの作動量を決めるので、適当な位置でイモねじを軽く締めレバーを引き好みの引きシロを探る。この時点でしっかりとイモねじを締めてしまうとケーブルにイモねじの跡がつきクセとなってしまうため、レバーを引いてもインナーケーブルが動かない程度に留める。すなわちレバーを強く引けばインナーケーブルが小物から抜けてしまうので、加減が必要である。

好みの引きしろが決まればイモねじをしっかりと締め、インナーケーブルを固定するだけだ。
通常のチドリを使用した場合ではアーチワイヤーの調整も必要なのだが、このブリッジケーブルでは不要。ふたつあったケーブルの調整がひとつになるだけで、とても楽に感じる。

ブレーキタッチはというと、これまで以上にカチッとした印象。
レバーを引きブレーキパッドがリムに接してから一粘りあるタッチが好みなので、この感触にとても満足。
ブレーキタッチはケーブルの他にレバーやブレーキアーチの形状や素材などによるところもあると思うが、自分は現状の「SNIPER BRAKE LEVER + CORE BRAKE CABLE + THE UNIT BRIDGE CABLE + UNIT U-BRAKE 」といったECLATの組み合わせが気に入ってる。
ガツッとし過ぎず、カチッとしていて一粘りあるブレーキタッチだ。

かつては某社製品の黄金の組合せで、チドリの位置、ケーブルの種類、ブレーキパッドの突き出し量などなど、あれやこれやと自分なりのこだわりを交えながら調整したものだが、それはそれで素晴らしいことだったと感じる。

みなさんは、どう感じるだろうか?